<今日のトレード>
ノートレ日
【今日のノート:デイトレの両建てで悩んでいる人がいるらしい。】
デイトレで両建てはやって良いんですよね?
以前の記事で,「デイトレで両建てはやって良いんですよね?」というのを書きました。株式取引のルールを調べていたら,不公正取引の中に両建てとよく似た状況の記述が出てきて,「あれ?やって良いんだよね?」と思ったまま,うやむやにして闇に葬った記事でした。
ブログを書き始めた頃に,Google Search Consoleというサービスを使うといいみたいな記事を読んだので,何がどうなっているのかわからないまま登録していたのですが,久しぶりにそのサービスのホーム画面を確認しに行ったんです。
すると,ボクの両建てに関する上の記事が,「デイトレ 両建て」という検索語でよくヒットしていることがわかったんです。
ためしにグーグルでその検索語を入力してみたら,検索結果が1位になっているじゃありませんか。あー,びっくりした。
同時に,「まずい。この記事,たぶん検索で読みに来た人に何の役にもたってない」と思い(だって読者に情報提供しているんじゃなくて,「やって良いの?」と質問している記事なんですから),ちょっと本腰を入れて調べてみました。
両建て=クロス取引なら不公正取引
デイトレで「両建て」という言葉が使われる場合,2つの意味があるようです。
1つは,トレードテクニックを意味する場合です。ある銘柄の株価が上がると思って買ったら下がっちゃったというときに,損切りするのではなく,両建てによって損失額を「ロック」し,状況が良くなるのを待つという方法です。デイトレで売り建てをするということは,信用取引が対象になります。
後述するように,これについては一定の条件に該当する場合を除けば問題ないようです。
だから楽天証券の「楽天トウシル」でもテクニックとして堂々と紹介されています。株主優待の権利確定日を待つ間の,リスクヘッジとして行われる「つなぎ売り」が両建てです。
また,両建てのテクニックが土台となっている「うねり取り」という手法を得意とするトレーダーもいます。
【両建て3つの手法】戦略的ナンピンで含み損を消す株式投資法?! - YouTube
そしてもう1つは,金融商品取引法で禁止されている相場操縦取引の,「仮装売買」にあたる取引行為を意味する場合です。
法第159条1は,次のような行為を禁止しています。
権利の移転を目的としない仮装の有価証券の売買、市場デリバティブ取引(第二条第二十一項第一号に掲げる取引に限る。)又は店頭デリバティブ取引(同条第二十二項第一号に掲げる取引に限る。)をすること。
両建てが,この「仮装の有価証券の売買」にあたると判断された場合,違反者は損害を賠償する責任を負うと規定されています(第160条1)。
どういう場合にそう判断されるかというと,同一銘柄かつ同数量の買い注文と売り注文を同一価格で同時に発注し,約定させる取引をした場合です。
ネット証券の多くは,こうした発注を防ぐために,クロス取引(違法な両建てのことを証券会社ではこう呼んでいます)にあたるおそれのある注文をしようとすると,トレーディングツールが警告を発するような仕組みを作っています。
試しに楽天証券のマケスピⅡでやってみたら,下のようなメッセージが出て注文できませんでした(メッセージにある通り,注文時の執行条件を寄付または引けに指定すればOKみたいです。これについては証券会社によって処理が違うかもしれません)。
やって良い両建てと,やってはいけない両建ての違い
- やって良い両建て:トレードテクニックとして,同一銘柄を同一数量であっても異なる価格で買いと売りを建てるなら,クロス取引には当たらないということになりそうです。1500円で買った銘柄が1400円に下がった,この価格差をロックするために1400円で新規に売り注文をした場合は,違法なクロス取引にはなりません。
- やってはいけない両建て:先に説明した通り,同一銘柄,同一数量,同一価格で売りと買いを同時に(一方が約定する前に)注文し約定させると違法行為になるおそれがあります(実態的にはトレーディングツールによって阻まれてしまいますので,約定することはできません)。
テクニックとしての両建てに対する超初心者の見解
で,両建てをテクニックとして使うことについてですが,超初心者のボクはこのテクニックを使わないようにしています。初心者が上手に使える代物ではないと思ったからです(まぁ,やってみて大失敗したということです…)。
何がむずかしいって,両建てで含み損をロックするところまでは誰でもできるんですよ(ボクでもできた)。でも,株価が刻々と動いて行く中で,いまの株価と,買い建値と売り建値それぞれの差を計算しつづけ,損失を最小化する,あわよくば利益を出すまでそれを継続し,いいタイミングで両方の建玉を決済するなんて,考慮しなきゃいけない要素が多すぎて頭がこんがらがっちゃうんですよー(ボクだけ?)。
もちろんこの手法を上手に使って,というよりもむしろ積極的に使って利益を出している上級者はたくさんいると思います(うねり取りをしているトレーダーですね)。
でも初心者でそれが上手にできるのは,よほど才能に恵まれた人に違いないとボクは思ったので,やらないことにしました。
禁止事項ではないので,自信がある方や,勉強のためにちょっとやってみようという方にまで「やめた方がいい」とは言いません。
(追記:その後4月からボクは両建てを技法として取り入れることにして,練習中です)
まとめ
デイトレで両建ては,すべて違法ということではありません(そういう意味では両建てという言葉の定義がちょっとゆるいんですね)。
トレーディングツールで注文できたなら,それは違法な両建てではないと思っていただいて良いと思います。
ただし,これは上級者向けのテクニックだとボクは思いますので,初心者にはおすすめしません。
不公正取引については,日本取引所グループのホームページに詳しい説明がありますので,そちらもご参照ください。
ふー,以前の記事であいまいだったことを,ようやくボクなりに整理できました。これならグーグル検索で見に来てくださった方にもちょっとはお役に立てそうです。
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