(今日はノートレ日)
ナンピンは平均単価を切り下げるテクニック
「難平」と書いて「ナンピン」と読みます。なんでも江戸の米相場に語源があるそうで,難(損)を平(ピン,平均)することからこう呼ばれるようになったそうです。
英語ではAverage down,平均値を下げるという意味です。
下手なナンピン素寒貧
株格言で「下手なナンピン素寒貧」という言葉があります。
下手くそがナンピンを安易に使うとお金が無くなっちゃうぞ,という意味のようです。
こわっ!
なぜ下手なナンピンは素寒貧になるのでしょうか。
それはナンピンが,「ナンピンした後株価が回復する」ことで効果を発揮するテクニックだからです。*1
株価回復の見通しを誤って,再浮上しないのに何度もナンピンを重ねていくと,損失額はどんどん膨らみ,下手くそはとうとう素寒貧になってしまうというわけです。
ナンピンに対する2つの見解
テスタさんの場合
テスタさんは切り抜き動画の各所で「ナンピンはしない」「理にかなってない」と発言しています。
「株価が上がると思って買っているのに,下げた時点で予測は間違っていたのだから,すぐに損切りして『どてん』するなり,再浮上を待ってエントリーし直せばいいだけ」という趣旨の考えを披露していたと思います。
らいおん丸さんの場合
らいおん丸さんはテスタさんとは正反対の主張です。「損切りはしない」「初心者が『損小利大』を目指すと結局は『損小利小』になる」という趣旨の発言しています。
「損切りは誰でもすぐできるようになるから,ちょっと下がったらすぐ損切りできる代わりに,利を伸ばすことに憶病になって,『損小利大』になっていかない」という考えのようです。
ナンピンと状況
お二人のナンピンに対する見解に共通性はないようにも見えますが,必ずしもそうではないと思います。
上がると思って買った銘柄が下がったら,テスタさんは「どてん」「再浮上したらエントリーし直す」,つまり「どてんをする」という素早い判断とテクニック,損失を最小限にできる危険察知能力を前提にナンピンを否定しているように見えます。
つまりより上級者になればナンピンは理にかなっていないと分かるんだ,という感じです。
らいおん丸さんの場合は,「下手の損切り素寒貧」だと言っているようです。
「損切りだけ上手くなっても勝てないよ」ということでしょうか。
たしかに,1回1回のトレードで下落に対する感度が非常に鋭敏になったとしても,結局は「損」を小さくしているだけなので,そこに「利」が生まれる余地はありません。
利が生まれるためには「上昇の確率を見定めて,良いタイミングでエントリーする技術」が必要です。
だかららいおん丸さんの場合,「銘柄検討に絶対の自信をもて(それくらい徹底した銘柄検討をせよ)」と助言しているのでしょう。
二人に共通するのは,無謀なリスクテイキングは問題外だけど,株価の下落をカバーするテクニックはいろいろあるよ,ということではないでしょうか。
ナンピンはテクニックなんだ
スポーツやゲームにはいろいろなテクニックがあります。
サッカーならヒールパスとかビハインドターンとか,トランプゲームならカードカウンティングとか。
勝負事であればゲームを有利に運ぶためのテクニックが必ず開発されています。
ナンピンは,そういうテクニックの一つなんだと思います。
「下手なナンピン素寒貧」の「ナンピン」を,「テクニック」という言葉に置き変えれば,あらゆる勝負事で通用する格言になるでしょう。
テクニックなら,下手な者が使えばピンチを招くのは当然です。
それはどてんでも同じで,「往復ビンタ」という言葉はどてんの失敗が損失拡大を招くことを示唆しています。
ナンピンが効果を発揮できる条件を理解して使おう
「無限ナンピン」という恐ろしい言葉があります。
株価が下がり続ける状況で損切りできず,ナンピンを何度も重ねてしまい,結局一度も浮上しないまま大きな損失を出してしまうことです。
ナンピンはあくまでも下げが限定的だと見通せる場合に有効なので,地合いの悪い時に出来高の少ない銘柄で高値づかみをすれば,効果はほぼ期待できません。
その反対に,ハイボラ銘柄を出来高が多い時間帯にトレードしていて,上昇過程で一瞬下落が生じた場合なら,効果を発揮する余地はあると思います。*2
そういうふうに,ナンピンが効果を発揮できる条件をあれこれ勉強していって,テクニックとしてものにできれば,武器が一つ増えることになるのかなーと思いました。
※ナンピンは損失拡大も大いにあり得る手法なので,投資自体ももちろんですが,自己責任で行ってください。
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*1:
2千円で100株を購入した銘柄(購入額20万円)が急落して千円(時価評価額10万円)になったとします。そこで損切りすれば損失額は1株千円(100株で10万円)になります。
そこで,2千円が千円に下落したときに,もう100株買い増します(合計200株)。
すると200株の平均購入単価は1株1500円(200株30万円)。
そのあと株価が千円から1500円まで回復したときに損切りすれば,1株当たりの損失額は(最初の100株で2000円→1500円=500円の損失)+(ナンピンした100株で1000円→1500円=500円の利益)=0円。つまり同値撤退と同じになります。
ところが逆に,千円でナンピンした後さらに500円下げたら,(最初の100株で2000円→500円=1500円の損失)+(ナンピンした100株で1000円→500円=500円の損失)=-2千円。つまり,ナンピンしなかった場合の2倍の損失になってしまうわけです。
*2:ナンピンよりさらに攻めたテクニックとして「マーチンゲール」というナンピンのたびに購入単元を倍にしていく方法もあるようです。