Re: マイナスから始めるデイトレ生活

デイトレと雑談を楽しむ人に読んでほしいブログ

あと一歩届かないのはボクの努力不足だから

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【今日のノート:あと一冊届かないのはボクの努力不足だ!】

Amazonアソシエイトへのチャレンジ継続中です。

が,ボクが自信をもっておすすめする本が,あと一冊購入されないでいるのは,ボクの努力不足に違いない。

本たちに申し訳ないから,紹介文を全部書き直しました。

気合を入れて,いま一度ご紹介し直しますので,「くどい!」と思われるに違いないけど,本気度100%で書き直したので,ぜひ読んでください!

 

マンガ部門

『夏目アラタの結婚』(乃木坂太郎

夏目アラタの結婚(1) (ビッグコミックス)

作者の乃木坂太郎は,人の心の奥深いところに潜む欲望や,そのさらに奥で小さく震えている人間の善良さを,連続殺人鬼の少女の物語として描くという難業をやってのけたと思います。それが『夏目アラタの結婚』です。

この物語を読む者は,「この先には絶望しかないじゃないか」と,破滅的なラストを予感しつつ,「だけどお願いだからほんの少しだけ幸せになってほしい」と祈りながら,近づいてくる結末を目撃したいと思っているはずです。

 

『おとなになっても』(志村貴子

おとなになっても(1) 【電子版限定特典かきおろしマンガ付き】 (Kissコミックス)

漫画家志村貴子は,人と少し違うというだけで,どうしてこんなに生きづらくなるのかを,「放蕩息子」や「青い花」といった思春期の同性愛やトランスジェンダーの物語として描いてきました。本作『おとなになっても』は,タイトルの通りすでに「おとな」になっている主人公たちが,思春期の人たちと何ら変わることなく,戸惑い,傷つきながら,愛する人との関係を育てていくお話しです。

ラスト近くで描かれる,「『あはは』じゃないか」,とつぶやいて涙するシーンは,結婚,離婚,和解,愛する人との生活などへの万感の思いがこもったすばらしいシーンだと思います。

 

『マイ・ブロークン・マリコ』(平庫ワカ)

マイ・ブロークン・マリコ (BRIDGE COMICS)

『マイ・ブロークン・マリコ』は,最近ではありふれている感のあるDVや毒親を背景とする物語です。しかし凡百のマンガや小説と異なるのは,女同士の深い友情によって被害者を弔う旅として物語が描かれ,一種のロードムービーになっているところです。

表紙には,親友の遺骨が入った白い箱が描かれています。この箱が,そしてそこに入れられた親友の遺骨がどうなるか,旅の終わりに主人公はどんな思いを親友から受け取るのか。ボクは最後は泣けてしょうがなかったです。

映画化もされましたが,まだ見ていません。マンガが良すぎるからなかなか観る勇気が出ないです。

 

new!『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』(ペス山ポピー)

実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。 コミック 全2巻セット

このマンガを読んだら,人によってはひどく不快になるかもしれない。だから紹介しようかかなり迷いました。でも,ボクとしては,周囲の世間からどんなに「変な人」「変態」だと思われても,その人たちが呼吸しやすい社会であってほしいし,その生き方を侮蔑的に笑うべきではないと思っています。マンガのタイトルを見て,「どういう意味?」と疑問に思うか,内容の予想がまったくつかない方が多いのではないかと思いますが,本当にこの通りの話なんです(笑)。

ただ,すごく変わった恋愛のお話しだけど,短い間に起きた奇跡のお話を読んだ気持ちになるところが,この作品のすばらしさだと思います。

本部門

『「その日暮らし」の人類学』(小川さやか)

「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~ (光文社新書)

アフリカのタンザニアで行ったフィールドワークを中心として書かれたこの本は,「Living for today」ーその日その日を生きることが,ボクたちにとって何ら特別なことではないとの主張のもとに,タンザニアの零細商人たちが仕事や成功,人との関係をどう感じながら日々を営んでいるかを記述したものです。現地でよく耳にするという「仕事は仕事」という言い回しが本の中で詳しく論じられていますが,日本に暮らすボクの労働観や人生観を広げてくれるような,独特の含意があり,気持ちを楽にしてくれるものでした。

 

『この30年の小説,ぜんぶ読んでしゃべって社会が見えた』(高橋源一郎斎藤美奈子

この30年の小説、ぜんぶ ; 読んでしゃべって社会が見えた (河出新書)

齊藤美奈子の批評は歴史学ジェンダー論をベースにしつつ,とても興味深い視点から小説や作家を論じていて,ボクはとても好きなんです。この本は,斎藤美奈子が作家の高橋源一郎と二人で長い間続けてきた対談を,約20年分まとめたものです。あまり直接的な批判をしない傾向(最近の書評がつまらなくなった原因ですね)の高橋源一郎に対して,はっきりと疑問や批判をぶつける斎藤の姿勢は,読んでいて痛快でした。

対象になっているのは2003年~2021年に話題になった本(ほとんどが小説)ですが,結果的に1990年代以降の30年間の小説について話し合ってます。新人作家からベテランまで広く取り上げられているので,新しい作家を見つけるには便利な対談集です。

 

『天路の旅人』(沢木耕太郎

天路の旅人

深夜特急』で有名なベテランのノンフィクション作家沢木耕太郎が,25年もの時間をかけて書き上げた本で,彼の代表作だとボクは思っています。第2次大戦中,西川一三という男性が,当時何も情報が得られていなかった中国の広大なエリアを,日本人であるという身分を隠して探索する旅(任務)に出ます。いったいどれだけタフな人間ならこんな過酷な環境で生き延びられるのかと思うような旅を,西川は何かに魅せられているかのように嬉々として続けていきます。旅の始まりから突然の終わり,そしてその後の人生まで,数奇な運命の連続です。この本もまた,究極の「その日暮らし」を描いており,『深夜特急』以来沢木が描いてきた,好奇心に突き動かされているときの人間の強さや面白さの総集編となる人物の,傑作評伝になっています。

 

『「伝える」ことと「伝わる」こと』(中井久夫

「伝える」ことと「伝わる」こと 中井久夫コレクション (ちくま学芸文庫)

中井久夫の日本語は,ボクにはとにかく気持ちがいいんです。詩人の松浦寿輝が「日本語のお手本」だと言っていますが,ボクはその意見に大賛成です。惜しくも2022年の夏に中井久夫は他界しましたが,統合失調症の研究,風景構成法という心理検査の考案,阪神淡路大震災後の心のケアの体制作り,トラウマやPTSDといった心理的な深い傷の概念の普及,ギリシャ詩の翻訳,ヴァレリーの詩の翻訳,などなど,知識人としての圧倒的な業績は,どれも平易で心地よい日本語で書かれています。

『「伝える」ことと「伝わる」こと』は中井のエッセイや論考を集めた文庫シリーズの一冊です。これに限らず,目次を見て興味をもったものを手に取っていただければ,極上の日本語が味わえると思います。

 

『証言 羽生世代』(大川慎太郎)

証言 羽生世代 (講談社現代新書)

羽生がデビューした頃の将棋界で,「羽生世代」と呼びたくなるような才能のある棋士の一群が次々に登場していたことは,将棋ファン以外にはあまり知られていないと思います(ボクも知らなかった)。なぜこれほどの人材がこの世代に集中して誕生したのかに興味をもった著者が,羽生世代の棋士たちと羽生との関係を中心に書いたルポが本書です。棋士同士の関係や,羽生の天才ぶりも印象的でしたが,それ以上に,羽生がいかに人格者で,周囲から心底尊敬されているかということが心に残ります。すごい人ってホントにいるんだなーと思いました。将棋を知らない人でも問題なく楽しめる本です。

 

『なぜ男は女より早く死ぬのか』(若原正己)

『女装と日本人』(三橋順子

なぜ男は女より早く死ぬのか 生物学から見た不思議な性の世界 (SB新書)

女装と日本人 (講談社現代新書)

人の性別は男と女。主義主張はいろいろあっても,生物学的にはそうに決まってる。もしそう思っているのだとしたら,1冊目を読んでみてください。「生物学的に」性別を定義することが,じつは容易じゃないことがわかります。そして「性別」がグラデーションを示す現象なのだということに興味がわいたら,2冊目を合わせて読むとより楽しめます。日本人は歴史的に,性別越境者に対してとても寛容な文化を持っていたことがわかります。2023年はトランスジェンダーにとって画期的な判決が2つも出た,歴史に残る年でした。2024年以降,この流れは加速していくことでしょう。これまでと異なる性別観は,新たな恋愛観や結婚観,家族観,ひいては生命観や社会観をもたらすかもしれません。

 

new!『正欲』(朝井リョウ

正欲(新潮文庫)

マンガ部門で紹介した『実録 泣くまでボコられて…』と同じテーマを扱った小説です。ただしもっと想像しづらいし,共感もむずかしいかもしれない人物が主人公です。世間からは理解されない/されにくい性的嗜好をもって生きる人間が,どんな心細さや孤独感を抱えているかを,とてもよくできた(しかし哀しい)物語を通じて伝えてくれる本です。ここ2,3年,LGBTQを登場人物とする作品が一気に増えた感じがしますが,この小説はその極北の人物を描いているように思います。この小説を読んでボクは,どんな人間がいたって驚く必要はないぞと思うようになりました。

 

new!『最愛の子ども』(松浦理英子

最愛の子ども (文春文庫)

松浦理英子はボクが一番好きな小説家の一人だから,この人だけを取り上げて本の紹介記事を書きたいくらいなんだけど,やっぱりおすすめしたい気持ちが抑えられず,最後に書き足しちゃいます。

物語の主人公は,いちおう3人の女子高生ということになるんですが,その3人を含む女子高生のお友だち集団とその家族を登場人物にした「小説内小説」として進んでいきます。そんな複雑な構成なのに,読んでいる間はまったく自然に物語の中に入り込めるのは,さすがだと思います。

この小説は,この作家の2番目に新しい作品なのですが,他の作品ではあまり感じたことがなかったような,穏やかさや希望を感じさせる作品でした。

 

というわけで,ぜんぶで13冊。ボクがアマゾンアソシエイトに合格するためという超図々しい動機での本の紹介ですが,どの作品も,ボクが大好きなものばかりです。興味をもっていただけたら,とってもうれしく思います!